このレポートは、これから大会に参加してみたい方や、大会を見て興味を持った初心者の方に向けたものです。
そのためあまり深く踏み込んだ内容を書くことはできませんが、観戦やゲームへの理解の助けになれば幸いです。
では、初めに設定について見ていきましょう。
記事環境
- クライアントver.1.0.12.46
- 公式DLCあり
- 他MODなし
- BBG(5.3.3)
- BBS(2.2.0)
C6ET(Civilization Ⅵ e-Sports Tournament)について
Vtuber:葉月いのりさんを中心として企画運営しているCiv6大会の総称です。
このリンク先の記事は、今(2023/07)時点では書き直していないのでプレイ環境やゲーム設定などが若干異なりますが参考になると思います。
今回の記事では第9試合(開催:2023/6/17.18(土,日))について書いて行きます。
試合自体は全7試合あり、白丸と黒丸は並行してバトルが行われており、別々の配信枠で解説が同時進行していました。
こちらから第9回の大会の配信リストが見れます。
神視点の解説だけじゃなくプレイヤー目線での配信もあります。
大会の設定について
まずは設定について、二点ほど軽く解説していきます。
Pick | Civilization World Cup |
マップ | パンゲア |
ゲームスピード | オンライン |
ターン制限 | 100ターン |
ターンタイマー | competitive |
惑星 | 新しい |
資源 | 豊富 |
戦略資源 | 豊富 |
BCY | 首都のみ、標準 |
チーム開始位置 | 東西 |
パンゲアについて解説
一つ目はパンゲアというマップについてです。
このマップは大きな一枚の大陸と小さな島がいくつか生成される(ないこともある)マップです。大陸は綺麗な楕円形で生成されることもあれば、地峡によってU字型のようになることもあります。
「七つの海」等と比較すると、基本的にそこまで海の重要性が高いマップではありません。
しかし、海文明が大陸の端と端に湧いた場合、海が広いため大規模な海戦が起こります。
海の広さは大陸の大きさにも影響されます。
キャラベル船の到着が対岸の文明まで10ターン近くかかるほど大きい場合もあれば、逆に対岸との距離が近く、5ターンほどで到着する場合もあります。
東西戦の特徴について解説
もう一点は東西戦という設定で、今大会のルールにおいては最も特徴的なものです。
これは東西に分かれて、チームが4人固まって配置されるというもので、多少距離に差はありますが、前衛二人、後衛二人という形で湧くことが多いです。
また、文明の湧き場所については、ゲーム開始前のプレイヤースロットによって操作できます。
この、仲間が固まって配置されることと、スロットによって文明の配置を固定できることから、後方の味方に安全に交易路を送ることができたり、強力な内政文明を確実に後衛に配置することが出来たりと、ランダムに配置されるゲームとはまた違ったプレイとなります。
他にも、前衛と後衛を選べるため、初心者が参加しても、練習内容を絞れるというメリットもあったり、前衛の文明がどれだけ相手の文明を見えるように斥候を奥まで流せるかという勝負が起こったりします。
この斥候を流す、止める勝負というのは見た目以上に重要です。
例えば、両チームが海文明を採用している場合、必ず海戦が起こります。
その際、一方のチームだけが海都市まで見えている場合、そこにスパイを送り、情報の収集で外交的視野を上昇させることができるので、「相手の行動に関する情報+3」という戦闘力のボーナスを受けることができます。
後述しますが、斥候勝負で有利を取れるという点で評価が高い指導者も存在しているくらいこの斥候勝負は重要です。
では、続いて今大会に置ける文明と指導者について見ていきましょう。
各試合のBANPICKについて (データ:指導者の能力表)
まず大前提として各チームとも相手チームの誰かが使うであろう指導者のBan(いわゆるメタBan)をしている可能性があります。
逆に現環境の強さとは別に、自分の得意とする指導者のPickをしている可能性もありますので、BanとPickについて、全ての指導者を抑えることはできません。
しかし、多くのゲームで選ばれる指導者が存在します。各指導者には様々に強力な点があるので、それらを三つのグループに分け、その後軽く解説していけたらと思います。
全試合PickかBanされた指導者をまとめ
BanとPick
左側のチーム名が先行
1:教祖チーム対黒瀬チーム
Ban | ゴルゴー、コロンビア、テオドラ、ハンガリー、壮麗帝スレイマン1世、チャンドラ |
Pick | 女王コンゴ、スコットランド、プトエジ、ラウタロ |
Ban | トラヤヌス、黒カトリーヌ、バシレイオス、キュロス |
Pick | ラフライダーテディ、帝国ヴィクトリア、ヤドヴィガ、ベトナム |
2:Johnyukkuriチー ム対Novenninerチーム
Ban | フェリペ、チャンドラ、コロンビア、テオドラ、プトエジ、ブルムーステディ |
Pick | ギルガメシュ、スコットランド、女王コンゴ、キュロス |
Ban | ハンガリー、北条時宗、トラヤヌス、バシレイオス |
Pick | ラウタロ、黒カトリーヌ、シャカ、壮麗帝スレイマン1世 |
3:ごーごーチーム対きのチーム
Ban | ハンガリー、コロンビア、スコットランド、バシレイオス、シャカ、チャンドラ |
Pick | 黒カトリーヌ、ゴルゴー、女王コンゴ、トラヤヌス |
Ban | 北条時宗、ラウタロ、テオドラ、キュロス |
Pick | 壮麗帝スレイマン1世、立法帝スレイマン1世、フェリペ、ナーディルシャー |
4:ラルフチーム対danチーム
Ban | テオドラ、ハンガリー、キュロス、チャンドラ、女王コンゴ、コロンビア |
Pick | プトエジ、黒カトリーヌ、エジプトクレオパトラ、ヤドヴィガ |
Ban | スコットランド、シャカ、ラウタロ、オーストラリア |
Pick | クリー、帝国ヴィクトリア、ナーディルシャー、宰相サラディン |
5:きのチーム対黒瀬玲チーム
Ban | テオドラ、女王コンゴ、チャンドラ、コロンビア、ゴルゴー、壮麗帝スレイマン1世 |
Pick | スコットランド、プトエジ、クリー、シャカ |
Ban | トラヤヌス、バシレイオス、キュロス、ハンガリー |
Pick | 黒カトリーヌ、ナーディルシャー、ディードー、ベトナム |
6:danチーム対Novemninerチーム
Ban | テオドラ、チャンドラ、スコットランド、プトエジ、壮麗帝スレイマン1世、黒カトリーヌ |
Pick | コロンビア、女王コンゴ、ラウタロ、キュロス |
Ban | ゴルゴー、ハンガリー、エジプトクレオパトラ、バビロン |
Pick | クリー、トラヤヌス、世宗、蒸気ヴィクトリア |
7:黒瀬玲チーム対Novemniner
Ban | ハンガリー、チャンドラ、ラウタロ、テオドラ、壮麗帝スレイマン1世、プトエジ |
Pick | コロンビア、スコットランド、女王コンゴ、トラヤヌス |
Ban | キュロス、黒カトリーヌ、立法帝スレイマン1世、クリー |
Pick | ラフライダーテディ、ゴルゴー、スウェーデン、北条時宗 |
強い傾向にある文明
内政が強い文明 | スコットランド、ゴルゴー、壮麗帝スレイマン1世 |
戦争が強い文明 | 大コロンビア、チャンドラグプタ、黒妃カトリーヌ、キュロス2世、マプチェ |
両方ともある程度できる文明 | プトレマイオス朝のクレオパトラ、女王コンゴ、トラヤヌス、テオドラ、ハンガリー |
東西線という仕様上、前衛と後衛の概念がありますがあとからチーム内で交換できるので、1週目にとりあえずPickしておいて、その後の相手のPick/Ban確認後、柔軟に前衛、後衛を選択ということができます
この中からいくつかピックアップしてどんな指導者かみましょう。
まずは全試合1週目のBanで消えたチャンドラグプタです。
内容 | |
固有能力 | ・1人でも信者のいる宗教1つにつきその都市の快適性+1 ・伝道師の布教力+2 ・自文明の交易路による宗教的圧力+100% ・すべての宗教ユニットの移動力+1 ・聖地から大将軍ポイント+1 ・社のある都市で訓練されたユニットの移動力+1 ・神殿のある都市で訓練されたユニットの視野+1 ・信仰施設のある都市で訓練されたユニットの戦闘力+2″ |
特殊 ユニット | 「ヴァル(置換前→騎乗兵)」 ・「騎乗」で解禁されるインド固有の重騎兵ユニット。 近接戦闘力40、移動力2 隣接する陸上にいる敵ユニットの戦闘力-5 (重複はしない) |
特殊施設 | 「階段井戸」 「灌漑」で解禁される地形改善。 丘陵以外に建設可能。階段井戸同士の隣接不可。 食料+1、住宅+1 ・聖地と隣接している場合信仰力+1 ・農場と隣接している場合、農場1つごとに食料+1 ・「封建制度」獲得後は信仰力+1、食料+1 ・「公衆衛生」研究後は住宅+1(要確認) ・干ばつによる食料の減少を受けない。 |
バイアス | なし |
インドの指導者であるチャンドラグプタは強力な固有ユニットである「ヴァル」をより強く使えるようにデザインされており、少ない内政負担で戦争ができるのが強力なポイント。
古典時代のユニットには大将軍の効果が乗るので、他の強力な古典時代の固有ユニットを持つ文明の場合、兵営の建造と並行して軍事ユニットの生産とプロジェクトによる大将軍の獲得を目指します。
しかし、これを行うと、どうしてもある程度内政に影響が出てしまいます。
古典時代の戦争で完全に決着がつくことは少ないですが、この場合、「どれだけ内政に負担をかけたか」というのが事実上の勝敗となります。
単純な話、相手より少ないユニットで、より多くの損害を与えれば実質勝ちというわけです。
この点においてチャンドラグプタは抜きん出て強力です。
この指導者は聖地を建てるだけで大将軍を獲得できるので、内政に影響を与える兵営の建設と、大将軍獲得のためのプロジェクトに生産力を使いません。
さらに、聖地を建てて宗教を創始するため、古典時代に「不朽」をすることができます。
近くの相手文明を大将軍付きのヴァルで攻撃する一方、自国内では信仰力で購入した労働者で内政を進めるということができるというわけです。
半ば理不尽な能力で隣国の内政は基本的に崩壊するので大会において活躍を見ることはありませんでした。
大コロンビア、シモン・ボリバルは先ほどの斥候勝負に強いという点で評価されています。
内容 | |
固有能力 | ・軍事ユニットの移動力+1 ・新たな時代に突入する際に大司令官を1ユニット獲得する。 ・大将軍を獲得できない ・軽騎兵ユニットは移動力がなくても昇進が可能 ・騎兵ユニット、スパイ、飛行機がレベルアップしてもユニットの移動力を消費しない。 |
特殊 ユニット | 「リャネロ(置換前→騎兵)」騎兵の代替。 元よりも維持費が低い。 隣接するリャネロ1体につき戦闘力+2 大司令官が退職能力を発動する時、一定範囲内にいるとHPを全回復する。 |
特殊施設 | 「アシエンダ」 「中世の市」で解禁。 平地にのみ建設可能。 隣接するプランテーション2つにつきゴールド+2、生産力+1、住宅+0.5、食料+0.5(「共通規格」研究後は食料+1) 隣接するアシエンダ1つにつき生産力+0.5(「早期展開」獲得後は生産力+1)、隣接するプランテーションに生産力+0.5(「早期展開」獲得後は生産力+1) |
バイアス | T5 プランテーション/バナナ |
全ての軍事ユニットの移動力が+1されているので、大コロンビアの斥候に追い付くことができず、簡単に相手側の都市をマップ上で視認することができます。
また新たな時代に入ることで貰える大司令官も強力です。
(大司令官は基本的には大将軍と似たようなユニット。)
先ほどのチャンドラグプタと同じように、兵営とそのプロジェクトに生産力を使わないため、その分の生産力で軍事ユニットを作ることができます。
また、大司令官は全ての時代のユニットに効果が乗るという特徴があります。
最初の時代の大将軍も古典、中世時代のユニットにしか効果がないため、太古のユニットである弓兵には大将軍の効果が乗りませんが、大司令官であれば弓兵にも効果が乗ります。
古典時代によく行われるような、剣士や騎乗兵+弓兵というラッシュが他文明以上に強力というわけです。
スコットランドは現環境で最も強力な内政文明の一つとしてピックされています。
内容 | |
固有能力 | ・「幸せである」状態の都市の生産力・科学力+5% ・また、キャンパスに大科学者ポイント+1、工業地帯に大技術者ポイント+1 ・上記のボーナスは、「興奮している」状態の都市では2倍になる。 ・斥候及び労働者を除く民間人ユニットが丘陵でターンを開始した場合、移動力+1 |
特殊 ユニット | 「ハイランダー(置換前→レンジャー)」 元よりも各種戦闘力が5高い。 丘陵タイルか森林での戦闘時戦闘力+5 |
特殊施設 | 「ゴルフコース」 「遊びと娯楽」で解禁、砂漠(丘陵含む)には建設不可 ・ゴールド+2、文化力+1、快適性+1、周囲のタイルにアピール+1 ・隣接する都心から文化力+1、ゴールド+1 ・隣接する総合娯楽施設から文化力+1、快適性+1 ・追加の文化力、ゴールド、観光力、住宅を社会制度ツリーと科学技術ツリーの進行具合に応じて得る ・「ギルド」解放後、快適性+1 「航空技術」研究後は文化力産出と同量の観光力を産出する。 1都市につき1つしか建設できず、ゴルフコースのあるタイルは交換できない。 |
バイアス | なし |
もちろん、他にも内政が強力な文明はいくつか存在しますが、少し特殊な内政をするため実際にはその力を十分に発揮できない場合や、扱えるプレイヤーがチームに存在しない場合もあります。
それらと比較してスコットランドは難易度が低く、ある程度ゲームに慣れたプレイヤーなら、何度か練習すればその力を発揮できます。
現環境の内政が強い文明として、ギリシャもあげられます。
内容 | |
固有能力 | ・「法典」解禁後ワイルドカード政策スロット+1 ・敵対するユニットを撃破した際に撃破したユニットの基礎戦闘力の50%に相当する文化力を得る。(標準スピードの場合) 現在セット中の軍事政策カード1つにつきすべてのユニットの戦闘力+1 |
特殊 ユニット | 「重装歩兵(置換前→槍兵)」 元よりも戦闘力が3高い。 他の重装歩兵が1体でも隣接している場合戦闘力+7 |
特殊施設 | 「アクロポリス(置換前→劇場広場)」 元よりもコストが半分になるが、丘陵にのみ建設可能。 区域からの隣接ボーナスが+1になる。 都心からの隣接ボーナスが+1になる。 ・遺産・総合娯楽施設・ウォーターパーク1つごとに文化力+2 |
バイアス | T4 草原丘陵、平原丘陵 |
指導者はゴルゴーとペリクレスの二人いますが、基本的には戦争適性が高いゴルゴーが選ばれる場合が多いです。
特殊な内政をする文明の代表とも言えるギリシャですが、非常に高い文化力になるため、一人で社会制度ツリーをドンドン進め、チームの文化キャリーとなります。また、多くの文明ではなかなかたどり着けない第3段階の政府、ファシズムを狙える文明でもあります。
そこまでいけば、軍事政策スロットの数だけ戦闘力がプラスされるゴルゴーの能力と合わせ、同じ戦車同士の殴り合いであっても優位を取ることができます。
最終的なファシズム大軍団戦車が強力なので、それまでは内政をしっかりしたほうが良い文明となっています。
重装歩兵ラッシュはやめて置いた方が無難です。
第9回の傾向
6月に行われた第9回大会は東西戦も二度目となるため各チームとも研究が進んでいました。
特に海文明を一切取らないチームの存在は前回との大きな違いでしょう。
第8回大会と比較して、戦争が強力な文明の評価が軒並み上がったことにより、それらの文明へのBanやPickの重要性も上がり、結果的に海文明を一切取らないという選択になったと思われます。
また、海文明同士が海戦を行うタイミングでは、大量のガレー船をキャラベル船にアップグレードするためゴールドが必要になります。しかし、東西戦においては、前線の文明は基本的に睨み合う(時には殴り合う)ことが多いため、少しでも相手より内政が遅れたらまずい状況にあり、労働者やアップグレードのためのゴールドを常に必要としています。
そういった事情から、ゴールドの捻出が困難となることも要因として考えられます。
また、オスマンの指導者、壮麗帝スレイマン1世は第8回大会後、大きく評価が上がった指導者です。
完全な内政文明としてPickされる壮麗帝スレイマン1世は、もう一人の指導者、立法帝スレイマン1世と比較して科学力に優位があるので、より早くグランドバザールを建て始めることができます。
グランドバザールが建つと交易路の上限が追加されますので、ルネサンス時代の公約、「貨幣改革」の黄金時代効果と合わせて大量のゴールドを稼ぐことができます。
チームのスコアが拮抗している場合、最終的にはお金の差がゲームを決めることが多いため非常に強力な指導者と認識されるようになりました。
まとめ
特に初心者の方なんかはオススメの文明というのを知りたいと思いますが、どんな文明であろうと基礎的な内政力というものは必要とされます。自力を付けることができれば、自分が練習した文明がBanされたり、Pickされたりして使えなくなっても、残った文明の中から柔軟に選ぶこともできるようになります。
ここまで読んだ方で、一人でもC6ETに興味を持ってもらえる方が増えたら幸いです。
ありがとうございました。
書いた人
伊織.
2023年1月頃からCiv6を中心にプレイ動画を投稿するYouTubeクリエイター。
Civ6の大会(C6ET)にも出場経験があり、アップロードしている動画は合成音声ソフト「つくよみちゃん」を使い15分前後でまとめており、プレイが分かりやすい。
(2023/07/02:えり記載)
今回の記事は、伊織.さんに書いていただきました!
ありがとうございますーー!
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